SXSW 2016: Wearable Technology and Functional Garments
SXSWのInteractiveジャンルでは、各種デバイスやIoT関連の展示やセッションもあります。そして、もともとMusicからFilmへと発展してきたイベントですから、アートとの結びつきも極めて強いカンファレンスです。
Wearable Technology and Functional Garmentsと題した展示を見てきました。
会場はWestin Austin Downtownです。
ニューヨークで衣服におけるインタフェースとテクノロジについて取り組んでいるデザイナーのBirce Özkanというかたがこの展示のキュレーターです。
彼女の母校でもあるParsons School of Designの学生と卒業生たちがデザインしたウェアラブルが、この展示のメインです。
Vessel
Elizabeth Tolson制作。女性のからだを、ウェア内部から照らしてアート・オブジェクトとして呈示。女性を物体・対象として扱ってこようとした文化へのカウンターとして、女性自らが望むかたちで、客体としてのオブジェとして、提示するドレスです。
Glacial
ArduinoとLEDによって制御される、自由にまとって魅せるためのウェアラブル。Betty Quinn, Birce Ozkan制作。
Bury
アダプティブでインテリジェントなウェア。機能の中心を「公害から自分を守る」ことに置いているのがユニークです。Yuchen Zhang制作。
Augmented Jacket
例えば鳥類は、羽に受ける風のちから、そして地球の磁北を感じ、方向を感じることができます。しかし人類にはそういった感覚と機能がありません。このジャケットには、マイクロコントローラ、サーボモータと地球の磁場を計測する電子コンパスを含む電子部品が埋め込まれており、北を向くと、羽毛が立ちます。そうして、着用しているだけで、本能的に向かう方向を感覚に取り入れることができるのです。Birce Ozkan制作。
http://birceozkan.com/augmentedjacket.html
Fall
秋になると、樹木は自然に葉を落とし、失っていきます。この自然のプロセスをインタラクティブな衣服に採り入れて、自然の季節の移ろいを着用環境として感じるのがこの作品のコンセプト。温度や光に応じて反応し、Arduinoでコントロールされたマイクロサーボモーターにより、衣服の「葉」が落ちていきます。Birce Ozkan制作。
Clickkick
マウスのように、足の動きをカーソル移動として伝えることができるシューカバー。Nitcha Tothong制作。
Vivorium
知覚、身体、素材、オブジェクトの境を曖昧にしていくという、ライフスタイルを探るプロジェクト。いろんなものが有機的で「キモ素敵」です。衣服における一種の「不気味の谷」かもしれません。
http://www.alischachtschneider.com/vivorium.html
また、触って感じられるファッションの提示を通して、視覚障害者との関係を探っていました。いろんな言葉のフラグメントを、文字を抜いたフェルトで縫い付ける、あるいは大きな点字で貼り付ける。この白い杖のおじさんは、これを体験するために訪れたとのことでした。
制作は、写真奥の女性、Ali Schachtschneider氏。